青森山田高校サッカー部 公式サイト

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛
判断力と活きる力
 6月、少しの時間をいただきタイのチェンマイを訪れた。これは10数年前から親しくしていただいている、Jリーグのギラヴァンツ北九州や東京ヴェルディで監督を務めた三浦泰年さんに会いに行くためで、タイのプロサッカーリーグであるチェンマイFCの監督(当時)として活躍していたからである。彼はサッカーにかけての情熱や選手に対する愛情が人一倍深く、そして他人とは違う感性を備えた少し変わったサッカー男である。私が知る日本のサッカー仲間の中でも『サッカー馬鹿』のグループに分類されるだろう(笑)。今回の訪問の目的は、そんな男の凄まじい生き方やパワーを同じ指導者として実感することや、近年、サッカーの成長著しい熱帯地域における発展途上国のサッカーへの興味だった。  そんなタイにおいて、『判断・活力・感謝』を学ぶことになった。  私がチェンマイに降り立った第一印象は、『自由』で『楽しそう』であった。日本のきっちりとした『生活』と『ルール』は、時折閉塞感すら感じることがあるが、タイでは生活の全てが『合理的』に映った。物価は日本の約4分の1で、日本人にとっては非常に過ごしやすいところだと思う。  街中は非常に交通量が多く、車やバイクやトゥクトゥク(三輪タクシー)をはじめ、大人やら子供やらがあちらこちらから湧き出てくる混雑状況の中、誰もがギリギリで接触を回避しながら前進していく光景が実に面白い。彼らは360度の視野を巧みに活用し、自分の安全と目的を瞬時に判断し同時に実行しているのだ。優先は青信号であっても赤信号に止まれの規制は無い。どのような状況においても、自らが『接触しない!』『安全である!』と判断したら前進することが交通常識になっている。そこに日本人とはかけ離れた大きな『活きる力』を強く感じる。この視野と判断力はサッカーにも十分共通していると思った。  人々は生きるために『判断』と『行動』を『目的』に準じて繰り返し行っていくものであるが、現在の『平和主義』と言われる日本では、『判断』を必要としない『危機感のない平和』が習慣化し、『活きる』ためのパワーを培うことを求められなくなっている。『ルール』や『常識』『モラル』に反する判断や行為は『ダメな人間』と評価され、自らの『命を守るため』もしくは自らが『利益を勝ち取るため』『活きるため』に必要な『知恵』や『意思』『欲』は、社会が決めた不合理な『ルール』や『規則』にコントロールされ慣れている風潮がある。生活そのものに『表情』や『感情』を持たない子供が増え、他人に『流されやすい』ことが通常になっていることすら、特に気にならないほどの『危機的平和感』は、確かに競技スポーツにも影響している。  サッカー日本代表がACLや国際大会において肝心なところで勝てない理由は、ここに最大の原因があると私は思う。日本人は24時間365日の生活の中で、自然と培われていく『活きる能力』が低すぎるということだ。数多くの国は、週末には寺院や教会に足を運び、日々自らが背負っているものを自覚し、神や家族や仲間に感謝し祈りを捧げる習慣がある。『背負う責任』と『活きる責任』を感じるからこその祈りであり行動だ。  トップアスリートを目指す人たちに自覚してほしいことは、自発性や積極性、忍耐力や犠牲心はトレーニングで得るものではないということだ。指導者や先生がいくら素晴らしい話をしても、または聴いても、いい指導をしても、または受けても、そのことを自らが求め理解しなければ、結局は肝心なところで勝てないし、限界がくるということである。成長するために、勝負に勝つために、自らの意思で求めなければならない環境であるということを心に深く刻んでほしい。世界で結果を残す日本の優秀なスポーツ選手は、日本という国がそんな精神的に甘い国であることは誰よりも熟知した上で、より多くの行動を自らの意思で発進していることを忘れてはならない。
2015/08/25 08:35
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