在学中、2年次には2部リーグ得点王となり1部昇格の原動力となる。彼の半生を著した書籍では「ただゴールするだけではなく、大事なゴールを決められるようになったのも、この頃です」と振り返っている。このシーズンに見せた「チーム勝利への渇望」と飽くことなき「ゴールへの貪欲さ」は印象的であった。なかでも、相手GKにスライディングタックルしてボールを奪いネットに突き刺したゴールは彼の真骨頂ともいえる。本学の中村修三総監督の長男。青学サッカーユナイテッド第3回は、香港で活躍するサムライ・ストライカー中村祐人さんを紹介する。
【生年月日】
1987年1月23日生まれ 【出身地】 千葉県出身 【選手歴】 2002~2003 浦和レッズユース 2003~2005 西武台高校 2005~2009 青山学院大学 2009~2009 TSWペガサス(HKG) 2009~2010 ポルティモネンセSC(POR) 2010~2011 TSWペガサス(HKG) 2011~2014 シティズンFC 2014~2015 サウスチャイナFC 2015~2016 黄大仙(ウォンタイシン)FC 2016~2018 和富大埔(タイポー)FC 2018~2019 傑志(キッチー)SC 2019~2020 和富大埔(タイポー)FC |
【Q1:現在、サッカーとどのように関わってらっしゃいますか?】
「今シーズンはキッチーSCからのレンタル移籍で香港プレミアリーグの2018~2019年シーズン王者のタイポーFCでプレーしています。また、来シーズンからは香港内の別のチームに移籍することが決まっています。経歴を見て頂ければわかるように波瀾万丈の選手生活を送っています。笑
尚、現在は、2018年に香港に帰化をして今は香港人としてプレーしています。」
【O2:香港に帰化して将来へのビジョンなど教えて下さい】
「僕自身大学4年生まではJリーグでプレーできるものだと思い、海外など1ミリも意識したことはありませんでした。しかし、海外に出て山程の挫折や失敗、時には日本に帰りたいと思うような出来事もありましたが、今では香港人となり、サッカー選手としての自分を見出してくれた香港に、香港人としてどこまでも恩返しをしていきたいと思っています。選手としてはもちろん、将来、香港の後進育成にも携わりたいと考えているので、コーチングライセンスの取得や、子供向けサッカースクールを立ち上げるなど、香港サッカーの未来にも貢献できるように尽力しています。」
【O3:ポルトガル、香港における選手生活の苦労、喜びはどんなことでしょうか?】
「やはり言葉はどちらの国でも最初に苦労しました。学生時代、英語の授業は真面目にやってきたことなどなかったので。香港に渡ってから英語を勉強し、ポルトガルに渡った際はポルトガル語を必死に勉強。そして、帰化した今は香港の第一言語である広東語を勉強しています。学生の皆さんには海外に出る、出ないに関わらず自分の可能性を広げるためにも語学は早いうちから勉強しておくことをオススメします!」
【O4:サッカーをするうえで大切にしていることを教えて下さい】
「試合前までの準備をとても大切にしています。身体のコンディションはもちろん、試合に100%の気持ちで臨めるようにメンタルコンディションも整えていきます。青学サッカー部で学んだメンタルトレーニングは今でも実践しています。僕が大切にしている言葉を一つ紹介します。Perfect Preparation Prevents Poor Performance(完璧な準備は雑な仕事を防いでくれる)。この精神で日々油断なく過ごすことを心がけています。」
【O5青学サッカー部で心に残るエピソードを教えて下さい】
「2年生の時の一部昇格争いの最中、最終戦引き分け以上で昇格が決まるという試合の前日に、練習後トレーニングを終えると部室掃除をしている4年生がいました。聞くと、そこで初めて毎試合前日に必ず部室掃除をしてくれていたことを知りました。試合には出られなくても違う形で共に戦ってくれているのだなと、とても感動し胸が熱くなったことを覚えています。結果は最終戦を引き分け、一部昇格を勝ち取ることができました。試合後、その先輩に『ありがとう』と言われたことは、一生忘れられない思い出です!プロになり試合に出られない時があっても、この先輩の姿を思い出し、常にチームのために行動できるように心がけています。」
【O6:大学サッカーだからこそ出来たこと、大学サッカーを選んで良かったことは?】
「ユース·高校までは『やらされる』と感じていたトレーニングが、大学に入り自発的に前向きに取り組めるようになりました。授業があって練習に参加できなくても自身で工夫してトレーニングしたり、練習の前後も自分に足りないものを重点的に鍛えたりと、練習に対する姿勢やサッカーへの取り組みが格段に向上しました。目標達成に向けて、自分で逆算して考えて行動できるようになったことが一番の成長だと感じています。」
【Q7:最後に青学サッカー部の後輩たちへのメッセージをお願いします】
「学生らしく!たくさん練習して、たくさん勉強して、たくさん遊んで、今しかできないことを全力で楽しんでください!
みなさん一人ひとりの姿勢や行動が青学サッカー部を作り上げていきます。青学サッカー部を魅力ある力強いチームにしていってください。皆さんの活躍を楽しみにしています!
一緒に世界で活躍しましょう!」
参考:『サッカー香港代表中村祐人という生き方』 松本忠之著(リーブル出版 2019年5月)