#11『凡人』 伊藤大輔(3年)
【名前】伊藤大輔
【出身】湘南工科大学附属高等学校
【ポジション】SB、WB
【青柳広望から見た印象】
とにかくサッカーが大好きで大好きで元気な少年です。
とても真面目で、尊敬できる部分がたくさんあります。
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『凡人』
湘南工科大学附属高等学校出身の伊藤大輔です。拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
僕は今まで歩んできたチームの中で何か飛びぬけた特徴はなく、ほとんどが平均的でスーパーな選手ではなく「凡人」だ。だけど自分は何事にも負けず嫌いな性格で、自分よりも上手い選手に対して、何とか追いつき、追い越してやろうと食らいついてきた。
ただ、それが報われるのか分からなくなる時もあった。
そんな時に「練習に行こう」と声をかけてくれる父や友人がいた。ただ、自分のプレーにあれこれ言われるのが嫌で、その言葉に歯向かい、背中を向けてしまうこともあった。そんな幼稚な自分だが、負けたくない一心でここまで何とかやってこれた。
私は、大学に入る時に「卒業後に絶対にプロに行く」と決意し入学した。しかし、入学してすぐに大学サッカーの厳しさを知った。覚悟はしていたがその差は大きかった。1年生の頃は何もわからないまま3番手のカテゴリーで、トップチームに早く絡みたいと思い、もがいていた。そして迎えた昨シーズンだったが、トップチームへ昇格は出来ず、2番手のカテゴリーだった。自分の中では少しは成長していると思っていたが、周りのみんなも同じように成長していて、その差は縮まるどころか離れていっているように感じた。しかし、絶対に見返してやろうと思い、試合に出場できない時期も自分と向き合い続けた。
そして、その結果、Iリーグでのスタメンを勝ち取ることができた。対戦相手は関東リーグ1部の強豪、明治大学だ。「絶対に勝って見返してやる」と思い挑んだが、自分のミスで負けてしまった。せっかく勝ち取ったスタメンのチャンスを掴めなかった。そんな自分に失望した。それからはなかなか試合に絡む機会が少なくなっていった。サッカーはそういうスポーツであると分かっているが、やっぱり辛かった。この頃は楽しくサッカーをすることができない時期でもあった。でも父は見捨てずに「絶対に見返すぞ」と声をかけてくれた。その言葉は今でも覚えている。
ずっと落ち込んでいても見返すことはできない。一層自分に足りないことと向き合うようになり、恥を捨ててコーチやチームメイトにアドバイスを求めるようになった。夏休みの練習後には1人で走り、家に帰ってからはボールを蹴りに行く、そんな日々を続けていた。すぐには成果が出ないことが分かっていても悔しくてやり続けていた。
そんな中、チーム状況の関係で初めてのポジションをやることになった。初めは何もわからなかったが、自分らしくがむしゃらにプレーした。そのうち、だんだんとそのポジションでスタメン争いをするようになっていった。普段とは違うポジションでプレーをしているからといって「スタメンを譲るわけにはいかない」と思いプレーしていた。すると、段々と自分の良さを出すことができ、試合に出場する機会が増えた。リーグ中断前の2戦はチームの勝利に貢献することができたと思う。そして、その後の夏の遠征期間でも多くを経験し、少しずつ自分に自信が持てるようになった。
そして、リーグ戦中断明けの6連戦、厳しい日程ではあったが勝ち続ければ、リーグ優勝の可能性もあった。
迎えた初戦、中央大学相手に何も出来ず、敗戦。
そして2戦目、明治大学との試合。前期の借りを返してやるとチーム全体で意気込んでいた。自分は3-3の状況で後半15分から出場した。「自分が決めて勝つ」そんな思い出でピッチに入った。だが、出場して15分ほどで怪我をしてしまい、交代を余儀なくされた。チームは試合終了間際の、後半45+7分に失点し、敗れた。自分にとっては見返すチャンスを怪我で何も出来ないまま終わってしまった。チームが大事な時期、自分としても調子が上がってきたところでの離脱は本当に悔しかった。そこからチームはなかなか勝つことが出来ず、敗戦の報告を聞くたびに、何もできない自分に苛立つことしか出来なかった。そんな状況でも、少しでもチームのためにできる事を探し、みんなと会話する事を増やしていったが6連敗してしまい降格プレーオフに進むことになってしまった。ケガを治し、その試合になんとか間に合わせることができ、スタメンで出場し勝利することができた。初めて長期離脱だったが、コーチやトレーナー、チームメイトそして家族が支えてくれて復帰することが出来た。サッカーができる喜びと多くの人に支えられているということに改めて気づくことでき、感謝を忘れずにプレーしようと思った。
復帰当初は、思うように体が動かず、それでも「やるしかない」そんな思いで、日々を過ごしていた。プレーオフにはスタメン出場できたものの、その試合でも何も出来なかった。昨シーズン、試合に出場することはできたが、ケガもあり良い年だったとは言えない。上のカテゴリーの選手を見返すこともできていないしトップチームに絡むことは一切なかった。
ただ、順風満帆ではなかったが、もがき続けたことで確実に前に進んでいる感触もある。そして、今年こそは「見返す」だけでなく「飛躍する」年にしたい。
積み上げてきたことを無駄にせず、さらに自分を高めていく。スキル、フィジカル、メンタルすべての面でレベルアップし、試合にコンスタントに出場し、チームを勝たせられる選手になる。そして、トップに昇格し、関東リーグで戦う。支えてくれている人たちへの感謝を結果で恩返しする。そのために、日々の練習を大切にし、自分と向き合い「圧倒的な努力」を積み重ねていく。「凡人」でも自分次第で変われることを証明する年にする。
2025/05/09 13:52