『僕の財産』/高橋来輝
1年4月右足首靭帯損傷
1年8月左膝前十字靭帯断裂
2年9月右膝前十字靭帯断裂
3年10月左足首靭帯損傷
これが僕の大学での実績です。下半身の曲がるところ全部いきました。コンプリートです。ビンゴです。
今ではこれも僕の誇りです。膝の手術痕も、カチカチで曲がらない足首も、正座ができないことも、しゃがめないことも僕の誇りです。もちろん怪我して良かったとは言いません。怪我しないように準備している人がいる中、準備不足だった自分を美化するつもりはないし、もっとやらなきゃいけなかったことがあったのは確かです。怪我を運のせいにもしていません。ただ、ここまで長いリハビリ生活でも、自分がやりたかったサッカーができない期間がどれだけ長くても、諦めることなくサッカーを好きで居続けた自分は誇れるものでした。昔から何も続かなかったし、すぐ妥協して諦めてしまうような人でしたが、どれだけ辛いことがあってもサッカーだけは好きで居続けたということがこの4年間で得たとてつもない財産でした。サッカーが心から大好きだということを気付かせてくれたこの経験に感謝しています。
リハビリ期間にはなぜサッカーを続けているのかということについて何度も考えました。親のお金でサッカーをしているけど将来サッカーでお金を生み出すビジョンも見えない。どう考えても親のお金でサッカーをし、怪我をしてまで続ける合理的な理由が見つかりませんでした。これは親からしたら迷惑な話かもしれません。しかし、自分の中でサッカーを続けている理由が分かった瞬間が何度かありました。それは人の心を動かしたときや自分の心を動かされたときでした。青学のサッカー部も心動をテーマに掲げていますが、まさにそんな瞬間に僕はサッカーを続けている理由が分かるような気がしました。
青学の公式インスタやツイッターを毎回確認して僕の出場やゴールの結果を待ち望みにしてくれている親(ゴールの報告をすると飛んで喜んでくれました)。ゴールを決めると喜んでくれる後輩達。僕がコートに立ってプレーしている姿を見ているだけで嬉しいと言ってくれる同期。「お前とサッカーしたいから早く復帰しろよ」と言ってくれた先輩方。そんな風に人と心を通わせている瞬間が僕にとって何にも代えがたい瞬間で、サッカーを続けている意義でした。そんな瞬間が人生で一番の幸せでした。受験に合格した時ももちろん嬉しかった。初めてのバイトの給料も嬉しかった。友達とお酒を飲むのも楽しかった。友達と旅行に行くのも楽しかった。ネットフリックスを見てダラダラ過ごすのも大好き。だけど僕はサッカーで苦楽を共にし、サッカーを通して人と心を通わせる時間が何よりも大好きでした。
誰に説明しても納得するような合理的な理由はこの4年間では見つかりませんでした。怪我してるくらいなら勉強や遊びなど他のことに時間を使えば良かったのかもしれません。しかし、自分が一番納得できる理由と一生の財産をこの4年間で見つけられました。僕の青学サッカー部での経験全てが幸せでした。
2021/11/09 08:59