青山学院大学サッカー部オフィシャルサイト

『道のり』/千綿友
1年間、青山学院大学体育会サッカー部への多大なるご支援、ご声援ありがとうございました。今年度主将を務めさせていただきました、社会情報学部4年の千綿友です。

同期の引退ブログを読む度に引退を実感し、満足感と喪失感の入り混じる数週間を過ごしました。私にとっては大学サッカー引退であり、サッカー人生終了となる大きな節目です。サッカー人生を振り返るブログを書こうと思ったのですが、卒業論文よりも長い文章になってしまいそうなので、大学4年間の振り返りに留めておきます。それでも、書きたい事が沢山あり結局長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


1年目
トップチームに関わる事も出来ず、関東リーグのボールボーイ。
2年目
出場した関東リーグ10試合で20失点をし、チームは東京都リーグに降格。
3年目
ほとんど試合に出場出来ず、出場したアミノバイタルカップで流経大に7失点。
4年目
主将に就任するも、怪我によりプレー出来た期間は約3ヶ月。

振り返ると、4年間を通して苦しい事や辛い事の方が多かった。しかし、私が生きてきた22年間の中で、最も成長する事の出来た時間だったと胸を張って言える。どのような想いで4年間を過ごしてきたかを本音で書き記したい。


高校3年6月
初めて青学の練習に参加した。

「みんなレベルは高いけど、何かが違う」

これが率直な感想だった。

所属していた柏レイソルユースの練習のような独特な緊張感はなく、一生懸命やっていない訳ではないが、なにか言葉では言い表しづらい「雰囲気」があり、私はそれに対して嫌悪感を抱いた。

そんな感情を抱いていた私であったが、サッカーと勉学の両方を考えた時に、最後に選択したのは青学だった。

青学に進学するからには、絶対にチームを1部に昇格させ、個人としてはプロになる。
そんな目標を掲げると共に

「青学サッカー部を変えたい」

と本気で思っていた。

しかし、こんな生意気な事を思っていながら、1年間はトップチームに入る事すら出来なかった。関東リーグに出場しているのは同期のカイト。焦りや不安がなかったといえば嘘になるが、この時の私は自分が試合に出場するためのことしか考えていなかった。サッカーはもちろんのこと、食事管理や筋トレ、自分が出来ると思う事を妥協無く行っていたと自負している。

その甲斐あって、2年になると関東リーグに出場出来るようになった。しかし、冒頭にも記したように、その年は関東2部リーグから東京都リーグへ降格した。

正直、妥当な結果だった。

シーズンを通して、練習の雰囲気は最悪。繰り返されるミスを笑って誤魔化す、少しのズレに対して要求しない、この程度でいいやというような甘さ。このままではやばいとみんな気づいているけど、誰もそれを変えようと行動を起こさない。私が青学の練習参加で感じた「雰囲気」の正体はこれだった。これまで、誤魔化し蓋をしてきた物が、降格という形で爆発した。

それからというもの、私達は何度も話し合いを重ねた。自分達の今年1年間、また入学してからの2年間の取り組みはどうだったのか。この現状に対して、どう思っているのか。どういう行動を起こせるのか。

本気になる事が恥ずかしい。
感情を表に出すのはダサい。

そんなチームを変えたかった。2年経って、やっとみんなと本音で話したと思う。みんな心の中には熱いものを持っていた。しかし、表現できないからチームの雰囲気として現れない。問題は気持ちと行動の乖離にあった。

雰囲気を変えるために行動を変える。
最初は本当に手探りだった。

練習からもっと声を出そう。
基礎練からこだわってやろう。
同じミスを繰り返すやつには指摘しよう。
良いプレーはもっと誉めよう。

当たり前の事の再確認から始まった。

少しずつではあるが、練習の雰囲気自体は良くなったと思う。

実際、3年の春に行われた天皇杯予選では、法政大学に負けたものの、早稲田大学、東洋大学に勝利した。また、関東リーグへ1年で復帰も果たした。

これらの結果の背景には様々な要因があったと思うが、間違いなく雰囲気が改善された事もあったと思う。まだ変化の途中ではあるが、チームとしては非常に良い流れで3年目の幕を閉じた。

そんな中、個人としては3年の9月に前十字靭帯の断裂をした。3年の間はスタメンを奪えず、試合にもあまり出場出来ていなかった。そこで全治9ヶ月の怪我。

しかし、

「チームを1部に昇格させたい」
「プロになりたい」
「青学サッカー部を変えたい」

この3つの目標がブレる事はなかった。

怪我人である自分が主将に就任する事に不安を抱いていた人もいたと思うし、自分自身も不安はあった。でも最後はみんなの後押しのおかげで踏み出す事が出来た。同期と後輩、スタッフの方々には本当に感謝しかない。

焦りと不安が入り混じる中、胸の高鳴りを感じる4年目がスタートした。

コロナの影響で活動停止等もあったが、チームは順調にまとまっていた。リーグ開幕前の練習試合は調子も良く、ピッチ外の活動も例年にない取り組みを行うなど、非常に充実していた。このままいけばリーグ昇格も夢じゃない。新しい青学サッカー部を築く事が出来る。そんな期待を抱いていた。

しかし、現実は甘くなかった。リーグが始まると、開幕3連勝してから前期は勝ちがなく、7月末までの9試合で勝ち点10。

非常に苦しい状況ではあったが、チームの雰囲気は悪くなっていないし、悲観的になっている者もいなかった。全員が本気で頑張っているのもわかる。だからこそ、自分達のやっている事は間違っていない。そう信じてしまう自分がいた。

熱量で周りに影響を与え、全員が自分に矢印を向け死ぬ気で戦えば、必ず結果は出る。

組織のトップに立つ私が、そんな考えを持っていた。しかし、熱量を持って取り組む事も、死ぬ気で戦う事も、どのチームも持っているただのベースに過ぎなく、同じ土俵に立って満足していたのだと、結果が出なくなって初めて気付いた。それを理解してからというもの、どうやったら勝つ事ができるのかを今まで以上に真剣に思考するようになった。私が選手1人1人の努力を正しい方向に導き、結果を残す必要があった。

そんな中私自身は、8月20日のvs立正大学との試合で関東リーグに復帰したものの、翌週に肘の怪我で離脱した。その後1ヶ月の離脱を経て、肘の怪我が完治しないまま10月8日のvs慶應義塾大学に出場した。しかし、痛みが続いたため再度病院を受診した結果、上腕三頭筋腱断裂で即手術と診断され、ここで私のサッカー選手としての人生は終了した。

あまりに呆気なかったが、落ち込んでいる暇はなかった。チームは残留をかけて戦っている。なんとかして残留するために、プレーしている時以上に思考する必要があった。対戦相手の試合は過去数試合遡って分析し、これまで以上に多くの選手とコミュニケーションをとり、試合映像を何度も見て、チームの現状を分析した。自分がピッチで戦えなくて本当に不甲斐なかったし、申し訳なかった。でも、それ以上にみんなの努力を無駄にしてはいけない、その一心だった。

その後、チームは残り6試合を6連勝し、勝ち点31で自力残留を果たした。本当に奇跡としか言いようがなかったけど、みんなの取り組みを見ている人にはわかると思う。あれは間違いなく必然だった。出場していた選手には頭が上がらないし、最高の応援をしてくれたメンバー外、サテライトの選手にも本当に感謝してる。

はたから見れば、ただ下位のチームが劇的な自力残留を遂げただけであるが、私にとってはそれ以上に価値あるものだった。結果が出ない中、もがき苦しみながらも思考錯誤を重ねた1年間。プレー出来た時間は3ヶ月ほどだったが、人生の中で最も濃い1年間だった。

また、ライバルとのスタメン争いや沢山の怪我、リーグ降格や昇格を経験した4年間は、私にとって非常に充実したものだった。

自分の成長のため、自分と向き合い続けた時間。
組織を変化させるため、仲間と向き合い続けた時間。
結果を残すため、思考し続けた時間。

この全ての時間がかけがえのないものであり、自身に深く刻み込まれている。


ここまで、非常に長くなってしまいましたが、最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。

自分はプロになる事も出来なかったし、チームとしても結果を残す事が出来ませんでした。しかし、小さくはありますが青学サッカー部の新たな伝統、文化の最初のピースになる事が出来たと思っています。

もちろん結果を残した方がいいし、目標を達成出来るに越した事は無いけど、それと同じくらい過程が大切だと気付く事が出来た4年間でした。

小学校でサッカーの楽しさに魅了され、中学校、高校でサッカーの厳しさを知り、大学ではサッカーを様々な側面から見て、奥深さを改めて感じる事が出来ました。

サッカーをやってて良かった。
青学サッカー部を選んで本当に良かった。
心からそう思っています。

これまで私のサッカー人生に関わっていただいた方々、本当にありがとうございました。
サッカーは一区切りになりますが、これからは新しい目標に向かって頑張りたいと思います。

サッカー人生 (完)

  
2022/12/18 17:43
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