『歳月人を待たず』/落合乃安
月日が経つのは大変早いもので、入学してから既に1年が経過している。帰宅中、満員電車に揺られながら記憶を辿る。
入部当初は同年代トップクラスの新入生を前に、やる気がみなぎった。このメンバーと4年間切磋琢磨していくことに期待を募らせた。気持ちが先行しすぎて相手に怪我をさせてしまうほど燃えていた。初めて関東リーグを観戦した時は迫力に圧倒された。ぼんやりとではあるが、このピッチに立ちたいと思った。
でもいつしか、あと一歩足が出ない。スライディングすれば止められるシュートを見過ごしてしまう。勝手にラインを設定し惰性でサッカーをするようになっていた。
慣れとは恐ろしいもので、人は新しい状況や経験に慣れることで、それが当たり前のように受け入れられるようになり、変化や成長の機会が減少してしまう。
初期の私は周りの高いレベルに食らいつこうと死に物狂いでトレーニングに励んだ。下手くそなりにただただ必死だった。その結果、自然と前日から食事や身体のケアや睡眠に気を遣い緊張感を持って毎朝の練習に取り組んでいた。簡単なパス練習をとっても一つ一つの動作を本気で意識して行っていた。
また、新しい環境でプレーすることが単純に楽しかった。出会ったばかりのチームメイトも、チームコンセプトも、何から何までもが初めての体験だった。
しかし、この刺激的な感覚を持続することが難題なのだ。これらのことはサッカーに限らず異なるスポーツでも、日常生活や仕事においても言えることだと思う。いかに物事を習慣化させず取り組めるかということが大切になる。
ここで、題名にもした「歳月人を待たず」という言葉に触れたい。この言葉は月日が過ぎ去るのは早く、機会は失いやすいということを意味する。そのため後悔のないように勉学や仕事に励み、思い切って行動を起こすべきだという言葉である。
冒頭でも書いたように、月日の流れる早さにつくづく驚かされる。もし、今のまま来る日も来る日も同じような意識で、同じような姿勢でただこなすように過ごしていても、成長することはできないだろう。
学年が代わり、新しいシーズンが始まった今こそ取り組みを見直し、改善できる節目だと思う。今まで以上に熱く、熱く、大学生活全てをかけたプレーを見せたい。
2023/07/14 11:31