『End of the day』/村上久伸
「おはようございます。福島県のふたば未来学園高校から来ました。村上久伸です。」
田舎者丸出しのなまりで自己紹介をして先輩にめちゃくちゃ笑われたあの日から私の青学サッカー部生活がはじまった。高校時代、平日は体育館か校庭の隅もしくはコンクリートの坂しか使えず人数も3人でトレーニングをしていた。そんな私にとって、人工芝で毎日レベルの高い選手たちと練習し、上を目指して挑戦できる青学は夢のような環境だった。周りの選手はみんな自分より上手く、ここから少しずつ積み重ねていけば必ず上手くなれるし、上にも行ける。そう信じて日々チーム練や自主練に取り組んだ。
しかし、学年が上がるにつれて上手くいかないことに焦りを感じるようになった。今やっていることを続けたほうが良いのか、変えたほうが良いのか、今自分はどこにいるのか、本当に自分は成長しているのか。大きな不安や焦りとともにサッカーをするようになった。常に余裕なく追い込まれてサッカーをして、上手くいかない時一番に思い浮かぶのはこのくらいでいいやと少し手を抜いたあの日の練習やあの日の弱音だった。
実力や覚悟が不足しているのに加え、自分を信じることもできず自分を苦しめていった。
そんな時支えになったのが、同期や共にプレーしたサテBの選手の姿だった。
ドイツでホームシックになりながらも上を目指して頑張っている金髪丸山聖陽、四年の初めに怪我をして苦しみながらも必死にリハビリに取り組んでいた神田雄亮、必死にプロの壁に挑む鈴直樹。ここに全員の名前を出すことはできないが全員が必死にサッカーと向き合っていて、その姿を見るだけでやるしかないと思えた。
サテBには、とにかく力をつけるべく頑張っている選手、怪我を重ねてなかなか上手くいかずここにいる選手、調子を落としている選手、いろいろな選手がいた。周囲と話すときには思ってもないのに自虐的なことを言ってしまう選手もいる。けど、みんな本当は悔しいし俺だってって思っている。その想いを感じた時、自分が腐るわけにはいかなかったし、とにかく自分を信じてやり続けるしかないと思うことができた。
2022年10月30日、サテBアイリーグ最終節。引退試合の日。言葉じゃ表せないくらい悔しくて情けない4年間。すべてをぶつけるやる気と覚悟に満ち溢れていた。前半、磯村のPKで先制。後半が始まって少しした頃ベンチでアップを進めていると応援の方からノブ出せよの声が聞こえる。厚さんから呼ばれ、応援に来てくれた方々の拍手を頂きながら交代エリアに進む。俺の名前が叫ばれ、チャントが歌われる。これまでの日々と悔しさ、情けなさ、覚悟、そして応援の仲間への想い、いろんな感情が溢れ出して正直震えた。みんなの応援の中でプレーした30分間はこれまでのサッカー人生で最も充実した時間だった。
試合終了。1-0勝利。
みんなのおかげで笑顔で最後の試合を終えることができた。本当にありがとう。
4年前に目指していたものは何一つ達成できなかったし、苦しさや情けなさにあふれる4年間でした。でも、本気で叩きのめされた4年間は間違いなく私を成長させてくれました。練習後のボール回しやバー当て、部室や筋トレルームでの時間は楽しかったし、神田を昼飯に誘って「あ、ごめん今日俺オーケー行くわ」の一言で断られるあの感じももうないと思うとすこーしだけ寂しいなと思います。
「震災と自分」という題名で震災当時のことを振り返り、やってやるぞと覚悟を決めたブログを書いてから早2年。4年間の集大成として気持ちの良い文章を書こうと思いましたが、想いが溢れ書いては消してを繰り返しなんとかまとめることができました。
ここでサッカーさせてくれた家族、最高の同期、一緒にプレーした先輩・後輩、スタッフ、別の角度からサッカーに向き合わせてくれた横浜英和の学生達、通いまくった相模原のカレー屋さん、最終節応援に来てくれた方々、支えてくれたすべての人に感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました。
最後にこの文章のタイトルである「End of the day」は私の好きなMr.Childrenの曲です。何も見えなくなった時に聞いてみてください。きっと力をくれる思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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